久しぶりの一発合格!
情報処理技術者試験では、5年ぶりとなる「一発合格」で見事に合格証書を手にすることができました。私の受験経験の中でも、大きな自信となる合格でした。受験したきっかけは明確なものではなく、プロジェクトマネージャの参考書を見て、習得しておきたい知識が出題範囲になっていたこと、「30代も近づくいま、そろそろ受験してみようか」という気持ちがあったことがきっかけです。
今回、受験票の裏を改めて読んで、過去に私が把握していたものと若干ではありますが、変わっているところに気付きました。(持ち物など)受験をする際には、「どうせいつもと同じ・・・」と思いつつも、一通り注意事項に目を通すようにしましょう。
使用したテキスト
情報処理教科書 プロジェクトマネージャ2007年版 三好 康之 (著) 翔泳社
テクニカルエンジニア(データベース)の時同様、三好さんのテキストを選びました。やはりこのシリーズは内容もそうですが、持ったときに手にしっくりくる感じがあります。テキストを選ぶ時には「このテキスト、なんか好き!」というような第六感も大切です。
ただし、私がこのテキストで一番読み込んだところは、巻頭にある試験の内容説明や、プロジェクトマネージャの考え方の部分です。他の区分の試験とは違い、プロジェクトマネージャは「知識があるか/ないか」だけではなく、「どう判断するのか」という考え方を問われます。
つまり、受験に際して知識をつめこむだけでなく、「プロジェクトマネージャらしい脳ミソ」を作っておく必要があるのです。
プロジェクトマネージャ合格論文集 齋藤 登志勝 (編著) リックテレコム
アプリケーションエンジニアの時と同様、リックテレコム社の合格論文集を購入しました。論文対策(実例)においては、このテキストがデファクトスタンダードと言っても過言ではないようです。
私のこのテキストの使い方は、読む部分を絞る方法です。確かに、参考になる論文が多数掲載されているため、全部読めて、全部覚えられることに越したことはありませんが、なかなかそうもいきません。そこで、「自分の経験に近いもの」「出題されたら書き進めやすいもの」を選択して、合格論文を読み込みます。自分ならどう書くか、どの辺りが合格に手が届いている要素なのかを意識して読むだけで、合格論文を書くことは難しいことではありません。
このテキストのおかげで、合格論文の何たるかを理解できれば、「論文」は鬼門ではなく、合格のステップにしか過ぎなくなります。
午後Ⅰ対策
午後Ⅰの出題は、他の試験と違い「基本的なパターン」を見つけにくい傾向があります。
しかし、出題する方もそう新しい問題を作れる訳ではないため、アプローチを変えて、過去にも出題されたような問いを投げかけてきます。
先述しましたが、プロジェクトマネージャは知識というよりも「行動」を問われます。行動を問われる場合、実際のプロジェクトであれば、背景・環境・人物・制約などを意識して、その解は一意に決まらないのが常です。例えば、「顧客と私(PM)の間で、○○に関して合意がとれない」という問題がある場合、実際のプロジェクトで想定される解は、
- 飲みニケーションにより、相互の理解を深め、歩み寄りを図る
- 他のメンバーを入れて、意見を聞いてみる
- お互いのメリット、デメリットを出し合い、徹底的に話合い妥協点を見つける
- 顧客の言うことであれば、条件付で飲む(あとで何かあった場合のために、議事録はきちんと残す)
- 合意がとれないようであれば、リスクが高いため仕事を引き受けない
正解/不正解は別として、ザッと考えただけでもこれだけの例が挙がりました。しかし、試験ともなれば求められている解答がこんなにバラエティに富んでいるはずがありません。(恐らく)正解となるのは、
- 顧客側責任者を通して、こちらの意見を主張し、理解をしてもらう。
- 両社の責任者を話合いに立ち合わせ、合意に向けた話合いを進める。
というような文言かと思います。では、実際には数ある解答の中から「なぜ試験ではこの解答が正解」と分かるのかというと、その理由は「過去問で出題されたから」となる訳です。その他にもパターンはたくさんあります。過去問を解く際には、意識してみてください。
ここまで説明をしてきましたが、例のごとく『午後Ⅰは時間との勝負』です。他の区分の合格体験記でも書きましたが、やはり1問1問、時間を区切っていく方法が有効です。実際に受験してみて今回も本当に時間が足りませんでした。ひとまず全問解答欄を埋めたものの、半分くらいは自分でも納得のできていない解答でした・・・。
自己採点の結果は、「68%~70%」(試験センターの解答、TACの配点で採点)。使用したテキストでは、70%で安全圏となっていましたが、私の場合、部分点を含んでその状態だったため、危うい状況でした。
結果、「600点」というまさにボーダー上で合格しましたが、あと1問ミスしていたら不合格だったことを考えると今でも冷や汗が出てきます。
午後Ⅱ対策
周りの人たちに聞いてみても、やはり課題となるのは午後Ⅱ(論文)のようです。
しかし、過去の合格率を見てみると、午後Ⅰまでクリアできている人たちの午後Ⅱの通過率は4~5割程度です。つまり、午後Ⅰまでクリアできれば、半分くらいの確率で午後Ⅱを通過できるのです。これはアプリケーションエンジニア等の午後Ⅱの通過率と比較すると、かなり高いと言えます。
上記のような分析から、プロジェクトマネージャの論文はそこまで高度な内容を求められている訳ではなく、「プロジェクトマネージャとしてなすべきこと」を、自分で考え、きちんとシナリオを組み立てられればいいのです。展開すべき内容は、当たり前の策で構わないのです。
私が勉強した結果、たどりついたプロジェクトマネージャの論文の合格要素を挙げます。ご自身で書いた論文をチェックしてみてください。
チェックポイント | 具体的な評価内容 |
---|---|
具体的な「知識」が記述されているか? | クラッシング、ファストトラッキング、WBS、アーンドバリューなど、教科書に載っているような内容を展開できているか?その展開に無理はないか? |
具体的な「考え」が記述されているか? | 発生した問題点に対して、どのような理由や経験から、どんな考えをもったのか?理由や他の選択肢と共に、具体的に記述できているか? また、その方向性に間違いはないか? |
具体的な「行動」が記述されているか? | 上記考えを受けて、自分のとった行動、人にとらせた行動を具体的に記述できているか? |
具体的な「数値」が記述されているか? | 期間、工数、金額、件数など、数値で表せる部分はなるべく具体的に数値で表されているか?その数値は現実的か? |
具体的な「経験」が記述されているか? | 同様の事例、過去の経験からの判断など、経験の豊富さを表現できているか? また、経験を持つ人物を有効活用するなどしているか? |
問題分を引用しているか? | 問題文で「重要だ」と定義されていることは、論文内でも触れて「重要と考えた」と記述しているか?(まるで自分で考えたように) |
主語は自分になっているか? | 自分がやったことを主体的に、「わたし」という言葉を使って記述しているか?評論家になっていないか? |
プロジェクトマネージャの立場をわきまえているか? | アーキテクチャや実装のことを考えていないか?レビューも自ら行なわず、方針を示すのみにしているか? あくまでも着眼点は「品質」「コスト」「納期」に置かれているか? プロジェクトマネージャとしてのスコープを超えた作業をしていないか? |
上記チェックポイントを満たしていれば、「コンテンツ」としては十分な論文が準備できるはずです。あとは表現の方法次第です。表現の方法については、先述した「合格論文集」を読んで、参考にしてみてください。
受験を終えて
午前は8割以上、論文も手応えがあったため、問題は午後Ⅰだという認識を持っていました。成績照会の結果、やはり午後Ⅰがボーダー上でした。統計情報を見ると、今回の合格率は10%を超えていたため、割と合格しやすいタイミングだったのかもしれません。運が味方したのも間違いありません。
試験制度が変わる前、最後の合格となりましたが、プロジェクトマネージャはほぼ出題範囲が変わらず、名前もそのまま残るので、「旧○○試験」と言わなくて済むのがいいですね。